TFⅡDコア複合体の構造

摘要

ヒト基本転写因子TFⅡDコア複台体の構造について、欧州分子生物学研究所のC Bieniossek博士らが報告している。(ネイチャー7434号)RNAポリメラーゼⅡによる遺伝子転写の開始は、ヒト細胞では非常に多くのタンパク質により調節されている。遺伝子プロモーターに最初に結合する基本転写因子は、転写因子ⅡD(TFⅡD)である。TFⅡDは、転写開始前複合体の形成を引き起こし、転写活性化因子と相互作用することでコアクチべーターとして機能し、エピジェネティック·マークを読み取る。TFⅡDは、TATAボックス結合タンパク質(TBP)と13のTBP随伴因子(TAF)からなるメガダルトン規模の多タンパク質複合体である。その重要な役割にもかかわらず、TFⅡBの詳細な構造や集合機構はわかっていない。TAFにはヒストンフォールドドメインが広く存在し、TFⅡBにはヒストン様4量体あるいは8量体構造が存在すると考えられている。ショウジョウバエの核では、TAFの一部(TAF4、5、6、9、12)からなり、機能を備えたコアTFⅡBサブ構造が明らかにされている。これらのコアサブユニットは、ホロTFⅡBの集合経路が対称的なものから非対称的なものへと変わっていったことを示唆している。