反響定位を行うほ乳類のゲノム配列データを解析

摘要

反響定位を行うほ乳類のゲノム全体にみられる収斂進化のシグネチャーについて、ロンドン大クイーンメアリー校のJ.Parker博士らが報告している。(ネイチャー7470号)一般的に、進化は遺伝子、タンパク質、そして究極的には表現型の分岐を通じて進むと考えられている。しかし、よく似た選択圧を受けたために、無関係の分類群でよく似た形質が収斂進化することもあり得る。適応性の表現型収斂は自然界で広くみられ、幾つかの遺伝子における最近の結果から、この現象が配列レベルでの反復進化を引き起こす力を持つことも示唆されている。どこのホモプラシー(成因的相同)的置換がこの種の進化を起こすかは、中立的な過程の結果であると考えられてきた。しかし、最近の研究では、平行進化をモデル化した統計的な手法を用いることにより、脊椎動物で適応性の収斂的な配列進化を検出できることが実証されている。ただし、属間での配列収斂がゲノム全体でどの程度起こるのかは知られていない。