脂質シグナル伝達受容体の構造解明

摘要

リゾホスファチジン酸受容体LPA_6によるリガンド認識に関する構造学的考察について、東大大学院の濡木理教授らが報告している。(ネィチヤー7667リゾホスファチジン酸(LPA)は生物活性を持つ脂質で、リン酸基とダリセロール骨格、長さや飽和状態がまちまちな1本のァシル鎖からなる。LPAはクラスAのGタンパク質共役受容体6つを活性化し、色々な細胞反応を引き起こす。LPAシグナル伝達はガンや繊維症に関わりがあることが示されているため、LPA受容体は有望な薬剤標的と見なされている。6つのLPA受容体はヽ内皮細胞分化遺伝子(EDG)ファミリー(LPA_1-LPA_3 )と系統発生学的に別個の非EDGフアミリー(LPA_4 -LPA_6 )に分割される。LPA_1の構造によりヽLPA受容体EDGファミリ1の解明は進んでいる。これとは対照的に、非EDGファミリーのLPA受容体の機能的および薬理学的特徴は、構造情報が欠如しているために依然として明らかになっていない。非EDGLPA受容体はヌクレオチド受容体のP2Yファミリーと配列が類似しているがヽP2Y_1やP2Y_(12)の構造からLPA認識機構を推測することは、リガンドの化学構造が大きく異なるために困難である。