東大院の2教授に藤原賞

摘要

藤原科学財団は、東京大学大学院理学系研究科の中村栄ー特例教授と東京大学大学院医学系研究科の宮下保司教授に第55回藤原賞を贈呈することを決めた。両氏には、それぞれ賞状、賞牌とともに副賞1000万円が贈呈される。贈呈式は17日、学士会館で行われる。中村氏の受賞業績は、精密分子設計に基づく分子科学•技術のフロンティアの開拓。19世紀の化学者のベルテロは「合成と解析は科学研究の両輪であり、化学はそのバランスが最も良くとれた学術分野である」と述べた。中村氏は、化学のこの特徴を最大限に活用し、有機合成化学(合成)と物理化学(解析)の両面において、革新的な発見、発明を重ね、創発的な研究展開により、分子科学•技術のフロンティアを開拓してきた。450編の学術論文と51件の特許に報告された成果の中でも、特に炭素クラスターの科学に関する研究は、中村氏の類まれな「合成と解析」の力量が遺憾なく発揮されたサイエンスに結実した。特に、分子動画の撮影とその応用に関する研究と、有機官能基化フラーレンを駆使した有機薄膜太陽電池の実用開発は特筆すべきものである。