花粉が川崎病の引き金か？ 患者発生数と花粉飛散に強い相関 早期の実証実験を期待

摘要

スギ花粉症が斎藤洋三先生により報告されたのは1963年であり、患者さんにとっては2〜5月や10、11月は憂鬱な時期であり、患者数は増加を続けてきている。川崎富作先生が小児疾患の難病•川崎病(Kawasaki disease:KD)患者を見出したのは1961年で、最初に学会報告されたのは1962年であったが、花粉アレルゲンは花粉症を起こすだけでなく川崎病の原因でもあろうことを、筆者は2003年9月の第23回日本川崎病研究会で初めて報告した。以来11年連続して日本川崎病学会学術集会等で、KDは「花粉惹起(誘導)疾患：po11en-induced diseases(PID)」の1つであるとの報告を続けてきた。花粉症と川崎病は異なる診療科の医師が治療し、病態も大分違うことから同じPIDとくくることにまだ抵抗があるかもしれないが、花粉飛散数の増大と連動して患者数が増加する狭患が1982年以来、他にもいくつもあることを、筆者は疫学的研究で報告してきた。3月初めに論文公表した筆者らのKD第3報の報告内容を中心に、従来のKDの病因論とは異なる筆者の考え方と、今後実証されるべき課題の一部を概説したい。