生活手段としての印刷物の盛衰

摘要

印刷•同関連業は,生活者が生存の目的で必要としている情報を依頼者から指示された文章•絵(静止画像)を紙に印刷している請負賃加工業である。雑誌,書籍などの売上高は,各国政府の産業統計値によると,欧米の経済先進国で静止画像がコンピュータで作成,電磁波媒体,情報通信ICT機器で音声,動画を瞬時,に世界へ送受信可能になった1920〜60年代から逋減し始めた。日本の遁減は,欧米の経済先進諸国よりも40〜70年遅れて顕在化した。日本の紙印刷物の売上高は,バブル経済が崩壊した1997年以降から年率3～7%,中小製造業の平均通減年率よりも2倍の速さで通減,従業者数は2000年の30万人から毎年約1万人の割合で減少している。この通減は,対応策として低価格での受注,事業の多角化,サービス業化を図っているが今日まで止まっていない。通減が止まらない要因については,紙媒体の情報手段としての機能の限界および第4次産業革命(情報革命)の観点から多数論述されている。