印刷機械デザインへのこだわり

摘要

「うちの製品にはデザインはいらない」産業機器メーカーのトップからよく聞かれた言葉である。デザイナーとしてはショッキングでもなhでもない言葉だと思った。正直な話，産業機器のどこをデザインするべきか当時はわからなかった。今では考えられない。機能をかたちに置き換える。それほどシンプルなデザイン。それが産業機器のデザインだと今では考えている。車や電子機器，家電製品などフオルムを追求するのがデザインと考えがちだからである。60年近く前の產業機器のデザインは，今でいうスケルトンのままでありデザインと呼ぶには程遠いものだった。機械の構造体，カバーの取付，操作部の無骨さ。機能のみ優先されたプロダクトであり，機械然として人との関わりは微塵もないものであった。それは印刷機械にかかわらず産業機器全般同じ状況であった。(図1，2)