大規模環境の3次元計測と認識•モデル化技術専門委員会大規模環境の3次元計測と 認識•モデル化技術の現状

摘要

工業先進国では，長い年月をかけて人工環境が整備されてきた.工業設備では，電機機械.輸送機械.船舶，製鉄.化学などの生産設備，発電設備，交通網，橋梁.建築物，貯蔵施設など，非常に多くの人工環境が存在する.こうした大型の構造物やインフラの保全は伝統的に労働集約的な業務であり.情報技術による効率化が著しく遅れていた.それに対して.近年，3次元計測技術が急速に進歩し.現実世界の広範囲の3次元データを計算機内に取り込むことが可能になってきた.その結果，工場やプラント，インフラ施設，都市環境などのさまざまなフィールドが計算機で扱える対象となり.労働集約的だった業務でも情報支援による効率化が可能な状況になってきた.社会的な要請も高まっており，高度成長期に施工された社会インフラの老朽化への対応が国家的な問題として指摘されている.熟練ェの引退や少子高齢化により業務の担い手が減少しており，保守や検査業務の効率化が緊急の課題となっている.