複数拠点にまたがるe-Scienceアプリケーション環境構築を目的としたソフトウェア導入・管理機構

摘要

あらまし　グリッド技術が発展するとともに，複数拠点の計算機資源を用いた科学技術計算が一般的になりつ つある．しかし，異なる組織に属する拠点に対してグリッドミドルウェアや科学技術計算プログラムを導入することは容易ではなく，セットアップや管理に多くの労力を割かざるを得ない現状がある．そこで本論文では，複数拠点にまたがる計算環境を迅速に構築し，統一的に管理する機構を新たに捷案する．複数拠点の計算資源をもとに仮想計算機からなるクラスタを構築し，その内部を既存のクラスタ管理技術を利用して透過的に管理する．すべての仮想計算機はVLANやEthernetVPNによって作り出した拠点横断的な管理用内部ネットワークに接続されており，既存のクラスタ管理システムによってソフトウェア導入やノード管理を統一的に行うことができる．パッケージキャッシュ機構を組み合わせることにより，ネットワーク遅延や帯域の制限が存在するWAN環境においても，安定したソフトウェア導入と運用が可能になる．評価実験や実証実験を通して，複数の遠隔拠点に対してソフトウェアを迅速に一斉導入し，既存のクラスタ管理の枠組みで運用可能であることを確認した．