研究開発や商品化のスタートで考えたこと: セラミック軸受の研究開発と特殊環境用軸受の商品化を振り返って

摘要

66歳で株式会社ジユイテクト(2006年に光洋精工(株)と豊田工機(株)が合併)を離れて約半年が経過した頃，学会誌「トライボロジスト」から「トライボ草子」への執筆を依頼された.「トライボ草子には何を書いても良いんです.特に期限は指定しませんので，好きなことを書いて下さに.功績賞受賞者の方々に執筆をお願いしています」とのことだった.素直な私は，「これは断れないな」と思い，引き受けてしまった.依頼する方は，「何を書いても良いんです」とさも簡単そうに言うが，私にとってはこれが案外難しに.「何を書こうか，何が書けるか」といろいろ考えたが，結局は長年会社で取り組んできた「セラミック軸受」と「特殊環境用軸受」に係わることしか思い浮かばない.しかし，今さらこれらの軸受の実績や技術データを並べて何かを述べるのも，ぱっとしない.それではどうしょうかとなるわけである.