災害リスク評価の徹底と社会的共有による防災•減災の強化: 水害から見る

摘要

近年頻発する激甚な災害への対応、とりわけ迅速性と確実性が求められる災害応急対策が速やかに行えないという困難な状況が続いている。また、発生した災害の規模や被害の形態等に対し、未曾有、経験したことが無い、想定していなかった等(以下、想定外)の評価が頻繁になされている。これまでの災害現場での経験からいえば、自らにあるいは身近に起きうる災害の具体的な可能性を知っていたか否かで、災害発生時の判断と対応において大きな違いがある。しかし、防災の担当者ですらリスクを知らずに対応にあたり、結果として想定外の災害を増やしている可能性がある。災害対応において想定外を無くすことは不可能ともいえるが、災害の科学的なリスク評価を最悪な状況を含め徹底して行い、何が起こりうるかを社会的に共有することで想定外を減らし、防災•減災の強化に繋げる必要があると考える。