交通工学と構造力学の接点: 道路施設の耐震化問題を例として

摘要

地震などの災害に対する道路ネットワークの信頼性•強靭性の確保は、わが国喫緊の課題である。阪神•淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)などでは、「複数の」道路施設(橋、トンネル、高架など)が「同時に」利用不可能となり、残った道路への交通集中による混雑の激化や経路途絶による旅行機会の逸失といった社会経済損失が生じた。こうした社会経済損失は、道路施設の耐震化によって軽減させられ得るが、耐震化にかかる費用もまた社会が負担せねばならない。この費用に見合うだけの効果(社会経済損失の軽減)を得るには、一部の道路施設のみを重点的に耐震化する「選択と集中」の戦略が必要不可欠となる。