歩行リ八ビリテーションシステム：自分の足で自由に歩くことを目指して

摘要

歩行は人間にとつて最も基本的な移動手段であるが、同じ目的地に行くのに歩いて行った場合と車で行つた場合で、距離感が違つたという体験をしたことがあるのではないだろうか。バーチャルリアリティ(VR)システムではコントローラを使って指先操作で移動することが多い。都市や家屋などの空間の設計にVRを使つた指先操作による確認だけでは実際の使用感とのズレが生じかねない。VR空間内を自分の足で歩行する感覚の生成には、歩行動作が実空間同様に行え、それに伴う周囲の空間情報の変化として、周囲の見え方などの変化や足で地面に加えた作用力に対する反作用力の提示が必要となる。最も確実な実現方法は目的の空間と同じものを用意することだがコスト的に見合わない。そこでューザに気がつかれないように身体移動を打ち消し、その場にいながら大空間を移動した感覚を提示する歩行感覚提示装置(以下LI)の研究開発が行われている。中でもェンドエフェクタ型LI (以下ELI)は、平面だけでなく階段のような凹凸も含めた空間を歩行できる。ELIは片足それぞれに用意した小さな床板(フットパッド)をューザが立っているバーチヤルな床面に相当する位置姿勢にマニピユレータによつて移動し、足の着地時の反発力や蹴り動作に伴う床からの反力を提示する。同時に歩行動作による身体移動を打ち消すことで、無限に広い凹凸を持つた地面を歩く感覚が提示できる。