UAV（無人航空機）一UAVによる地形測量・災害把握一

摘要

簡便に上空から地表を概観する取り組みは1903年のNeubronnerによる鳩へのカメラの搭載や、凧・気球を用いた方法など、20世紀前半から行われてきた。UAVの活用では、1996年に日本の遺跡でシングルローターのいわゆるラジコン・ヘリコプターが写真測量に使用されたが、取り扱いの難易度が高く、安定飛行など課題があった。安定した大型シングルローターは農薬散布に定着したが、測量分野では研究に使用される程度であり、非測定用カメラを用いた写真測量もまだ大衆化していなかった。2000年代から登場した電動マルチコプターが衛星測位や姿勢制御などの技術の進展によって2010年頃から普及が進み現在に至る。いまのUAVは、ホビーや産業向け、国内製や海外製、電動や内燃機関、固定翼(A)や回転翼(シングルローター(B)、マルチコプタ—(C、))、垂直離着陸機(VTOL)など多様な製品が存在する。建設分野では、i-Constructionの推進によって2016年に関連要領やマニュアルが整備・更新されて以来、UAVの活用が広く浸透した。測量には計画に応じた航行が可能なUAVが用いられ、高い重複率の画像を用いた三次元形状復元(SfM／MVS)やUAV搭載型レーザスキャナ(以降、UAVレーザ)による三次元点群測量が実施されている。なお、これまでの固定翼や回転翼の有人機の撮影では、市町村などの広域を数時間で精密に、例えば1画素10cm程度の空間解像度を網羅するが、UAVでは3ha程度の小範囲をリアルタイム、かつ高頻度で1cm以下の空間解像度に得られる利点があり、それぞれを適材適所に用いて必要に応じた空間情報の取得が可能になっている。