超硬工具材料粉体からのタングステンとコバルトの環境調和型分離回収に関する研究

摘要

タングステンカーバイド（WC）は超硬工具材料として用いられている1）．Wc粉にCo粉を混合し，成型後に焼成して粗製晶となる2）．この後にダイヤモンドなどによる研磨加工によって所定の形状の超硬工具製品となる．この工程で生じる粉体は，通常珪藻土による濾過工程を経るので，55％のWCと6．5％のCoと不純物（SiO_2，Al_2O_3など）を含有しており，資源量はおよそ1000トン／年である．タングステンの原料鉱石は灰重石または鉄マンガン重石で，含有量はWO3換算で1％程度である．超硬工具廃棄物中に含まれるWやCoなどのレアメタルの需要は増加傾向にあるが，それらの埋蔵量は少ない．多くのレアメタルについて，一次資源からの安定供給が困難になりつつあり3，4），廃棄物からレアメタルを回収することは資源確保の点で重要である．