人工地盤上の空間構成とコミュニティ形成に関する研究坂出人工土地の利用実態に関する研究　その1

摘要

Sakaide Artificial Ground in Kagawa prefecture is a known example of the combined applications of Modernism and Metabolism in postwar Japanese Architecture. This paper aims to clarify the influence of the interaction of residents on the community formation of Sakaide Artificial Ground, focusing on how to use the public area of public housing. In conclusion, results of the study show positive actions by residents' autonomy in the use the public area of public housing. For instance, residents voluntarily encouraged the use of the public area, and this activity contributes to the formation of the community of Sakaide Artificial Ground.%1)居住者の働きかけ。 人工地盤上の屋外空間では、人工地盤上という地上から隔てられ通過交通が排除された安心できる領域意識のもと、居住者による植栽等の作り込みが盛んに行なわれ、また、階数による緑地の使い分けもなされている。さらに、住戸に連続する緑地は、増築等の要求に対応できる余地空間としても機能していることがわかった。 2)屋外空間の変遷。 死角が多く、緑地の管理が居住者に任された人工地盤上では、利用されない屋外空間が荒廃する傾向にある。半世紀の時間の中で、荒廃した児童公園をバラ園として整備し地域開放したり、自治会で人工地盤上に駐車スペースを設置し維持管理をしたりと、居住者の自主的環境形成による屋外空間の使われ方が変化している。 3)空間構成とコミュニティ形成。 働きかけがしやすい住戸近傍の空間構成によって居住者が屋外空間に積極的に働きかけることで、集合住宅に豊かな景観がもたらされるとともに、居住者の緑地や広場での諸活動が、他の居住者との接触の機会となって、集合住宅内でのコミュニティ形成が促されている。住棟のグルーピングにより、住棟ごとや工期ごとの近隣交際が進む一方、古くからの居住者の間では地盤レベル差に拘らずコミュニティ形成がなされている。 また、市営住宅と地権者住宅の屋外空間が生活空間として共有されており、居住者属性を超えた緑地の共同利用が生じていることや荒廃する緑地の維持管理に地権者が貢献していることも明らかになった。 さらに、バラ園の地域開放により、人工地盤上居住者のみならず、市民に広く親しまれ、地域コミュニティの形成·維持に有効に機能することが期待される。