農山村地域での課題発見型イベントによる地域づくりの展開

摘要

本研究は「地域づくりの始動•進展に「課題発見型イベント」は重要な影響を及ぼす」という仮説の検証型研究である。その方法は中津川市川上地区において，地域のまちづくり推進協議会「まち協」でのワークショップ型の会議などを対象に参与観察型の調査分析を行った。川上地区の「課題発見型イベント」は地域の現状に危機感を抱いた若いUIターン組や移住者たちにより企画された2017年11月開催のKマルシェである。Kマルシェは地区の顔である夕森公園でのもみじ祭りを舞台に行われ，地域に反響と成果をもたらした。それは従来の外部に委託していたイベントを地域の人達が企画者•主役となり楽しめるものに変えたこと，地域でとれた農産物の出品販売など荒廃した農地の改善や地域の生業の仕組みを変える可能性を生んだこと，従来限られた人たちの参加であったものを女性や若者や高齢者も参加できるものにしたこと，などの内容であった。