フィボナッチ格子による視線べクトル配列を用いた建築空間の視界幾何特性分析ッールの開発

摘要

In this paper, development of tool for analyzing geometric appearance of architectural space was conducted in following three steps. 1. Proposed tool is based on three-dimensional geometric calculation by gaze vector to all directions. Therefore, we explore an appropriate generation method of gaze vectors.2. As a result of accuracy test, we clarified that Fibonacci lattice is effective for representing apparent size of three-dimensional object.3. By using gaze vector array by Fibonacci lattice, we developed some functions for visualizing geometric appearance of architectural space. In addition, we confirmed that developed tool worked effectively through case studies.%視覚情報は人間の行動に強く影響しており、建築や都市空間の計画を行う際には建築物の各部が利用者からどのように見えるかを確認する事が重要である。一般的には、空間の見え方の確認のためには模型が利用されるほか、近年ではBIMの普及もあり、3次元モデルを利用して確認するケースも増えている。検討方法としては、模型やモニター画面を見ながらの感覚的な評価が多く、評価者や目的によって評価軸も様々であり、総じて定性的な評価方法がとられやすいと考えられる。それに対し、視覚によって得られる空間情報を定量的に評価するアプローチも存在し、その代表的存在として後述するIsovist理論が挙げられる。Isovist理論やその概念から影響を受けた研究は様々に存在するが、それらの研究ではどのような要素がどのように見えるのかという視覚対象物の属性に着目した計算方法や表現方法の研究はほとんど見られない。一方で、Isovist理論とは関係なく、自然や都市空間における特定対象物の見え方を分析した研究も様々に存在するが、分析対象の特性に応じて可視量や可視性の計算方法が最適化されており、空間の見え方分析における汎用性の高さを指向したツール開発の研究はほとんど見られない。これに対し、壁•天井•床•柱などの建築構成要素や、樹木•空•周辺建物などの外部環境が建物内の各場所から見える割合等をより柔軟に分析できれば、各種の計画作業への応用がより具体的に行えるようになると考えられる。以上のような背景から、筆者らは建築空間の内外において周囲の空間構成要素の見え方を効果的に分析するための手法を開発し、各種の空間分析に応用していくことを目指している。本報ではその基礎研究として、3次元CADを用いて建築空間内にある無数の視点場から全周を見た時の構成要素毎の見えの大きさ（立体角）やその割合•可視率•視距離等を幾何学的に計算し可視化するツールを開発したので、その計算方法や精度検証結果も含めて概要を報告する。