札幌巿緑の保全と創出に関する条例による民有地緑化計画とその効果について

摘要

本報告は，札幌市の「緑の保全と創出に関する条例」を対象として，条例の制定経緯と制度の運用状況の把握と共に，条例に則した許可対象物件における緑化の実態調査とを同時に行い，条例による民有地緑化の実態と課題を明らかにしたものである。都市の緑化の推進を協議制から許可制に変え，5種の地域種別に応じてその地域に沿った許可基準を設けるなどの特徴を持つ緑化条例に一定の成果があることは確認されているが，緑の保全と創出は単純に面積の確保だけでは進まない。植物としての緑をどのように維持管理していくのかという問題が，業務•商業系の用途の建物で管理が行き届かず、中長期的に見て緑の確保につながっていないという実態が明らかになった。考察でも触れられている通りに完了後のモニタリングも制度としては重要であろうが，緑を維持•育てる仕組みを地域でつくり，指導していくしくみと制度がどのように連動するかについても重要な課題であり，今後の研究の進展を期待したい。%Recently, local authorities have progressed the way to wnich preserve and produce more green along with private developments. This paper focus on the Sapporo City Ordinance for the preservation and creation of the green by looking at its effects. Through the study, it suggests the following there points to develop the Ordinance to increase more green in private lands. They are; to include residential developments in the category of the Ordinance, to set the criteria for the location of greening in a planning plan and the amount of greening in a planning section, and to develop the monitoring system.