好酸球性消化管疾患

摘要

好酸球性消化管疾患(eosinophilic gastrointestinal disorders:EGIDs)は慢性の消化管ァレルギー性疾患であり,好酸球の有意な浸潤を認める部位により,食道に限局する好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EoE),胃に限局する好酸球性胃炎,大腸に限局する好酸球性大腸炎,複数の消化管にみられる好酸球性胃腸炎(eosinophilic gastroenteritis:EGE)に分類される.胃や大腸に限局するタィプは少ないことから,好酸球性胃炎と大腸炎はEGEに含められることが多い.EoEの診断基準は,①食道機能障害に起因する症状の存在,②食道粘膜の生検で上皮内に好酸球が高視野で15以上存在すること,が必須である.EGEの診断基準は,①症状(腹痛,下痢,嘔吐など)の存在,②胃,小腸,大腸の生検で粘膜内に好酸球主体の炎症細胞浸潤が存在すること(高視野で20以上の好酸球浸潤,また他の炎症性腸疾患,寄生虫疾患,全身性疾患の除外を要する),あるいは③腹水が存在し腹水中に多数の好酸球が存在すること,が必須項目としてあげられている.EGEの病型分類として,Kleinらは粘膜優位型,筋層優位型,漿膜下優位型,全層型に分けている.EGIDsの重症度は,上部消化管症状(嘔吐,嚥下障害,食欲不振)の頻度,腹痛の程度,下部消化管症状(下痢,血便)の頻度,Alb値,末梢血好酸球数,重大事象(穿孔や狭窄による手術)の有無,ステロイドや免疫抑制薬使用の有無によりスコア化され,重症,中等症,軽症に分類されている.