コメディカルのためのCKD（慢性腎臓病）療養指導マニュアル

摘要

『コメディカルのためのCKD（慢性腎臓病）療養指導マニュアル』が出版された．CKD（chronickidneydis－ease，慢件腎臓病）という「新しい言葉」と「新しい概念」が腎臓病に戦いを挑んでいる． 　腎検診システムと腎機能：わが国では，学校保健法，老人保健法，母子保健法，労働安全衛生法に基づいて検尿が行われ，生涯検尿システムとして，腎臓病の早期発見，疾病予防に大きな意義があった．老人保健法に基づく基本健康診査では，腎臓関連検査項目としては，従来尿検査のみであったが，平成4年度から，血清クレアチニン測定が加わった．しかし，平成20年度，新たにはじまった特定健診では検尿（尿糖，尿蛋白）は必須となったが，血清クレアチニン測定は検診項口から削除された．興味深いことに，アメリカではCKDという定義と腎機能（血清クレアチニンからの糸球体濾過量（GFR）を推算した佃）の程度により病期分類を行い，新しい概念を提唱した．CKDの概念は，病態論から疾病をとらえ，末期腎不全，心血管イベントや死亡を集団的視点から予防する腎臓学の新しい動きであ る．