薬物性肝障害：いつ何どきでも鑑別にあげ，その後はどうする？

摘要

1.薬物性肝障害(DILI)は肝細胞障害型，胆汁うっ滞型，混合型に分類される. 2.原因としては抗菌薬，解熱鎮痛抗炎症薬，精神神経領域薬が多いが，漢方薬や健康食 品·自然食品によるものも少なくない. 3.診断のためには，肝障害をきたしうるほかの原因を丁寧に除外すること，原因となり うる薬物およびその服用時期を詳細に聴取することが重要である. 4.薬物リンパ球刺激試験(DLST)の結果は参考となるが，確実なものではない.確定診断 を目的とした被疑薬の再投与は禁忌である. 5.治療方針としては被疑薬の投与を中止することが大原則で，多くは薬物の中止だけで 軽快するが，なかには重症化する症例もみられる.患者には今後被疑薬の服用は避け るよう説明する.