食品中の動物用医薬品等の分析に関する研究

摘要

われわれは食品を介して栄養成分を摂取する一方で，人体にとって望ましくない化学物質も体内に取り込んでいる．食品はヒトの生命維持に欠かすことのできないものであり，食品が具備すべき基本的条件は，その安全性が確保され，保証されているかである．食品中には本来，目的をもって使用された動物用医薬品，農薬，食品添加物などが基準を超えて残留したり，食品汚染物質として混入する化学物質が危害因子となり，私たちに不安をもたらす．食品に関係する化学物質のリスク評価を実施するうえで，マーケットバスケット方式あるいは陰膳方式で実施される摂取量調査は重要な情報源である．評価に資するデータを提供するためには，信頼性の高い食品分析が要求される．