「服はなぜ音楽を必要とするのか？Ⅱ」: 「ウォーキング・ミュージック」という存在しないジャンルに召還された音楽達についての分析と考察

摘要

東京発の文化が、世界標準と比べてどの程度優れているか（或はどの程度劣っているか）といった比較論は、今や唾棄すべき。というより、牧歌的な物として、涼しい笑顔でやり過ごすべきなのかも知れません。取材から執筆までニヶ月経過。という、連載開始以来のタイムラグにより、既に「夏の思い出」と、センティメントに粉飾するに古かでない程に遠い過去となってしまったこの夏の東京コレクションですが、取材数は例によって僅か5メゾンと、「東京のファッションシーンを展望する」にはほど遠いものでしたが、それでも私が感じ取ったのは、「最早、海外がどうのこうの云う感じではないな」といった一種の空気感でした。