幹線道路周辺での大気浮遊粒子状物質中六価クロムの吸入リスクレベル

摘要

六価クロム(Cr(Ⅵ))は電気メッキ，塗料，機械製造等さまざまな産業で使用されており，極めて高い発がん性を有するため，有害大気汚染物質の優先取組物質に指定されている。これまでの調査より，一般大気と見なせる横浜国立大学構内での大気中のCr(Ⅵ)濃度の年間平均値は0.10ng/m~3であり，生涯発がんリスクレベル10~(-6)を超えることがわかった。また，顔料として路面標示黄色塗料に含まれる高濃度のCr(Ⅵ)は，磨耗により粒子状物質となった後に飛散して，大気中のCr(Ⅵ)濃度を高める主要発生源である可能性か考えられた。そのため，本発表では路面標示黄色塗料がある幹線道路周辺での大気調査を行い，大気浮遊粒子状物質中のCr(Ⅵ)濃度と粒径別分布を測定するとともに，高リスクが懸念されているPM2.5等としての吸入リスクレベルも検討した。