地域における廃プラスチックリサイクルのMFCA分析: 川崎ェコタウンを対象に

摘要

地球温暖化問題が進む中，地域レベルの資源効率性の改善が重要な課題となっている。本研究では，環境管理会計の手法であるマテリアルフローコスト会計(以下、MFCA)を地域レベルの分析に適応することによって地域レベルの資源利用のロスを明らかにし，資源効率性の向上のあり方を検討していく。MFCAは，本来は企業の製造プロセスにおける資源やエネルギーのロスに注目し，ロスに投入した材料費や加工費などを負の製品コストとして総合的に原価計算を行うことで企業内部のロスを「見える化」する分析手法である。近年，資源効率性の向上やコストダウンの手法として注目を集めており，企業レベルだけではなく，地域レベルの分析に適用する動きもみられているものの，地域レベルの分析については十分な研究展開が行われていないのが現状である。本研究では，地域レベルのMFCA分析として、企業に対するヒアリング調査をもとに川崎エコタウン地域の廃プラスチックリサイクルにおける資源効率化の可能性を検討した。具体的には,研究対象となる各企業の製造工程におけるMFCA分析を行い，工程レベルでのコストのロスを解折した。それをもとに，地域レベルのMFCA分析を行い，地域レべルのコストのロスを解析した。最後に、地域内の企業連携による資源とコストのロスの削減から得られるCO_2排出削減と経済効果を考察した。