電力システム改革を占う5つのポイント: 自由化の局面では中期的市場動向の注視が鍵に

摘要

日本で電力自由化が始まったのは1995年のことだ。まずは、IPPClnde pendent Power Producer、独立糸発電事業者)が解禁され、2000年代に入ると、電力小売りについても2000kW以上の特定高圧から順次市場が自由化された。しかし、2005年ごろになると、電力会社の反対などにより、50kW未満の小口需要に関する自由化は止まってしまった。その結果、自由化によって新規参入者が獲得した巿場シェアはわずか3%程度に過ぎなかったが、価格は30%程度も下がった。電力会社も自由化範囲についてコストダウンなどの努力をしたが、規制下にある小口需要での利益を温存することができた。福島第一原子力発電所の事故後の東京電力の改革に伴う分析では、実に利益の9割を小口需要に依存していたとされる。