第9回 マイクロ超音波センサ: 強誘電ポリマーを用いた圧電型マイクロ超音波センサの開発

摘要

障害物検知装置としての超音波センサの自律移動ロボットへの搭載例を紹介して超音波センサの可能性を示した。超音波の音速は，電磁波と比較して扱い易い速度なので，信号処理回路の作製が容易であり，研究室レベルで自律移動ロボットの作製が可能である。超音波センサは動作原理の違いにより周波数特性が広带域なセンサと狭帯域なセンサの2種類あるが，超音波を使用したフェイズド•アレイ方式の障害物検知用センサとしてはどちらも使用可能である。本稿では強誘電ポリマーを用いた圧電型マイクロ超音波センサについて作製方法を中心に技術内容を紹介した。試作したマイクロ超音波センサの単素子の受信感度は194μV/Pa(-74dB,OdB=1V/Pa),共振周波数は50.1kHz,89.2kHz,Q値は12と24である。アレイセンサでは各センサ出力を加算処理していくためにシステム上から見たセンサの感度はより大きくなる。今回紹介したマイクロ超音波センサの受信感度特性，共振周波数特性は自律移動ロボットに搭載可能な性能を示している。本センサのような高周波に共振周波数を持つセンサの特徴は，超音波を用いたアクティブ測定において外部騒音によるノイズの影響を受けにくいことと.距離分解能が高いことである。マイクロ超音波センサはこれからも進化発展する可能性を有しており，ダイアフラム構造，圧電材料等を最適化していけば個々のアプリケーションに適合した性能の良いマイクロ超音波アレイセンサ群の開発が可能であると考えている。