西安化覚巷清真寺礼拝殿の勾連搭とその接合部について

摘要

西安化覚巷清真寺礼拝殿は勾連搭の屋根形式をもつ建造物である。本稿では、この建造物の勾連搭の形式について、接合部の技法をもとに再検討を試みたい。陝西省の古建築について基礎的な情報を記す『陝西古建築』1は、陝西省における勾連搭の屋根形式をもつ建造物として、西安化覚巷清真寺礼拝殿と三原城隍廟大殿の二例を挙げる。西安化覚巷清真寺は西安旧城中心地、北西のイスラーム教信仰者居住地区に現存する。1392年に創建され、1522年、1606年、1795年、1947年に修復され今に至る2。また、三原城隍廟は、陝西省咸陽市三原県の中心部に位置しており、大殿は三原城隍廟の中で中心的な建造物で1375年に創建され、その後清代に献殿が増築され今に至る3。