防災の本質は命を守ること技術や情報が真に人々の中で活かされるために

摘要

広島県は土砂災害危険箇所が日本で一番多いところとして知られている。その意味は土砂災害の素因が一番多いということであり，実際の土石流発生数や災害の発生頻度が一番多いという意味ではない。ふだん雨が多くない地域であることから崩れやすい物質がそのまま斜面に大量に残されているのだが，一般の人々には災害の起きないところという意識が形成されやすく，危険なところに生活場が近づく傾向にある。その結果，崩壊や土石流等により人家に被害の出そうな場所として認定される土砂災害危険箇所が非常に多くなってしまうのである。