サウジアラビアにおける金融機関用超高層ビルの設計を通じて<プロセス編>

摘要

本プロジェクトはサウジアラビアの首都リヤドに計画されているKAFD:King Abdullah Financial Districtという国際金融開発区の中心部に位置する。KAFDは現在のリヤド市内と国際空港の 間に位置し，160万m2の土地に延べ面積300万m2超の建物（約60棟）を有する中東地域でも最大級の開発区である。同開発区内にはオフィスビルのみならず，住宅やホテルなどの居住施設や地区内にモノレールや市内•空港と接続する公共交通 (LRT)の駅舎も計画されている。本プロジェクトのクライアントは，サウジアラビア国内におけ る証券取引を管理する金融機関等を含めた複数の出資者による特定目的会社である。設計•監理業 務は2010年に国際コンペにて当選し，設計に約2年を要し，2012年に着工に至っている。前号（4月号）ではプロジエクト概要および要素技術の報告を行ったが，ここでは設計•施工段階プロセス における課題や注意事項について設計•監理者の視点から国内の標準的なプロジェクトとは異なる部分を中心に報告する。