BIM連携を可能とした建設ロボットプラットフォームの取り組み

摘要

建設業界は昨今の技能労働者の高齢化に加え，業界の魅力発信不足により新規入職者が減少している。一方で，働き方改革による労働時間の削減にも努めていかなければならない中で，生産力の確保，コロナウイルス対策が喫緊の課題となっている。これらの課題に対し，当社は設計施工一貫方式の強みを活かして，飛躍的な生産性向上を目指している。とくに設計から生産に至るプロセス全体にBIMやICT,AIやロボテイクスなどの最新技術を取り入れて業務プロセス全体のデジタライゼーションを強力に推進している。ここで，BIMとは，建物の3次元設計モデルに，材料やコスト等の属性情報を付加し，単なる設計図ではなく建設計画のデータベースとして整備することにより，設計•施工•維持管理といった建物のライフサイクルすべての段階において，それらの情報を活用する仕組みである。業務プロセス全体のデジタライゼーションの推進に対して具体的には，①BIMモデルをベースとした設計段階への生産情報の折り込み（フロントローデイング），②協力会社とのデータ連携によるデジタルファブリケーション，③ロボット·IoT技術などを活用した作業所におけるデジタルコンストラクションを3本の柱として，2025年までに生産性を大幅に向上させることを目標に，より魅力的な建築設計·生産プロセスの実現を目指している。本稿は，ロボット·IoT技術の開発に該当する内容である。建設業界ではロボットの開発を積極的に行ってきており，当社でも清掃ロボット，搬送ロボット，材料取付けアシストロボット等，さまざまな開発を行い作業所に導入している。これら導入ロボットの種類，台数が増える中，運用面での問題も浮き彫りになってきた。たとえば，日本全国各地でロボットを稼働させる中で，ロボット異常時において，詳しいエラー内容が不明なため，復旧までに時間を費やし，稼働データの取得ができないなど，ロボット側での処理，把握には限界がある。ロボット使用者も，現場監督や技能労働者であり，ロボットに対する知見も少ない。さらに，BIMを中心としたデジタル情報に基づくものづくりへ大きくシフトしようとしている中，BIMとロボットといかにデータ連携させていくことが重要と考えている。以上の背景により，建設用ロボットプラットフォームの開発を進めてきたので，本報告では，本開発の状況との実施内容を述べる。