走る蓄電池としてのEV活用

摘要

本稿では，将来EVが大量普及したときに，その搭載バッテリを用いて，電力の需給調整力として利用した場合，どれぐらいの価値•収益が得られるかの検討結果を紹介した（VGI価値検討コンソーシアムでの検討結果）.すでに調整力としての市場があり，市場価格が確定しているイギリスやデンマークにおいては，VGIによる調整力としての収益はそれぞれ，£485/car/year，€1,118/car/yearとなる事例を紹介した.調整力の市場が成熟していない日本においては，2030年の全国の発電設備において，VGIの貢献による運用費改善のポテンシャルを663億円/年（EV普及率16%)と見積もった結果を紹介した.