炭素繊維強化しなやかなタフポリマー

摘要

ポリマー材料の高機能化•高付加価値化.および用途の多様化が進む中，ナノオーダでァロイ構造を形成させる技術により，従来からのァロイ技術では達成不可の飛躍的な高性能化を可能とする技術が報告されている.これと呼応して，内閣府総合科学技術•イノべ一ション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム（ImPACT)において，伊藤耕三プログラム•マネージャ一の研究開発プログラムでは，従来の限界を超える薄膜化と強靭化を同時に達成する「しなやかなタフポリマー」の実現を目指す取組みが2014年より開始した.一般に，ポリマー材料は，自動車のバンパや内装，家電製品の筐体などの身近な部材に用いられることが多く，衝突や落下で壊れないタフさが要求される.このポリマー材料が破壊する際には，分子レベルでは，糸毬状に絡み合ったポリマーが，ほぐれながら変形し，最終的に一部分に応力が集中し，分子鎖が切断することで壊れるものと考えられている.すなわち，材料中の一部に局所的な応力が集中することで壊れやすくなり，ポリマー材料が本来もっている性能を十分に発揮しきれていない可能性がある.