パブリックシアターからソーシャルシアターへ: 公共劇場の新しい挑戦 佐藤信インタビュー

摘要

劇場づくりにかかわり始めたきっかけは自分が演出する劇団の自前の劇場です。〈アンダーグラウンドシアター自由劇場〉は小劇場運動が盛んな1966年に建築家の斎藤義さんと組んで、六本木のガラス屋さんの地下につくった30坪程度の劇場です。プロセニアム型の劇場をコンパクトにしたもので、緞帳や袖幕などいわゆる劇場設備を一揃い設えましたが、公演を重ねるごとに余分なものを、どんどん取り払い、たった半年でただの黒いハコになってしまいました。それまで、劇場とはすでに存在する概念であり、そのなかにお芝居を入れればよかったけれど、ただのブラックボックスになると、もう1回、劇場とは何か本質的に考え直さないと、そこを使えないわけです。