旧東ドイツの縮小都市政策から「生き残る郊外の条件」を考察する

摘要

今回の特集のテーマは人口減少時代における「生き残る 郊外の条件」というものである。それを、人口減少を激しく体験 した旧東ドイツの文脈から考察するというのが、私へ与えられ たお題である。とりあえず、あまり考えずに原稿依頼を受けてし まったのだが、原稿を書くにあたって、旧東ドイツの縮小都市 は、都市が「生き残る」ということを至上命題にしていたところが 大半で、郊外まで目配せできた都市などほとんどないことに気づ いた。郊外を生き残らせるどころか、むしろ都市を生き残らせる ために「郊外」を畳むといった都市政策を進めた自治体が大 多数である。それは、命を救うために泣く泣く患部を切断すると いった対応である。「泣いて馬謖を斬る」と言えば、ふざけすぎ ているという印象を持たれてしまうかもしれないが、実態はそれ に近いと思われる。