地域の宝を、地域に取り戻したい

摘要

今でこそいくつかのNPO法人が立ち上がり、まちの活性化を図っている別府巿。その先駆けとしてまち歩きガイドとして活動し、別府の宝たる古き良き風情を"伝道"してきた建築家がいる。土田眞巿氏(別府市•ASMアトリエ)がその人だ。パイロットだった父親から「別府は神様からの贈り物だ」と聞かされて育ったという。海に面した別府をハワイのようだ、奥座敷である湯布院の存在はヨーロッパのようだと言い、週末ごとに土田氏をドライブに連れて出たという。土田氏自身も、別府巿の中で一番下町風情を残す浜脇地区をこよなく愛した。路地裏に漂うタ餉の匂い、温泉施設から聞こえてくる地域の人の会話、時折遭遇する夫婦喧嘩の声さえも人の集う場所の温かみとして感じた。別府巿を「神様に贔屓されたまち」と認識しだしたという。