染め直して衣類を生まれ変わらせる“PANDA BLACK”

摘要

世界の繊維消費量の最近の急増は凄まじく，21世紀に入り毎年約7%ずつ伸び，2011年の生産量(7888万t)は，1993年時点の倍に達する.天然繊維の生産量は頭打ちの状態で，化学繊維，特にポリエステルのみが増えている状態である(2012年時点で世界の全化学繊維生産に占めるポリエステルの割合は80%に達する)が，そのような大量生産消費社会が持続するとは考えにくい.つまり，衣生活においても環境を考えた対応が重要となるが，2009年に国内で排出された衣料品94.2万t(推計)のうち，リサイクル率(サーマルリサイクルは除く)は11.3%,リユース率は13.4%しかなく，残りは焼却や埋め立て処分されている.高分子や色素，無機化合物など様々な素材が複雑にミックスされた衣料品のリサイクルやリユースは容易ではないが，それでも各方面より様々な取組が紹介されており大いに期待したいものである.