ダイヤモンドコーテッド超硬ドリルによる超硬合金の穴あけ加工: 加工穴数が工具刃先形態に及ぼす影響

摘要

超硬合金は高い機械的強度を有するために，高い成形荷重が生じる精密冷間鍛造や打ち抜きなどの金型材料として有用とされている．その反面，高い機械的強度を有するために，機械的除去加工が難しく，一般的に，その形状創成には放電加工が用いられる場合が多い．しかしながら，放電加工は，放電加工機ならびに電極製作を必要とし，材料の除去効率も低い．加えて，その加工面は梨地状で表面粗さが粗く，その表層にはマイクロクラックを含む加工変質層が生じるため，後工程を必要とする．そこで，加工効率と加工品質の両者を向上させる対策として，超硬合金の直彫り加工があり，これまでにcBN やPCD からなる工具を適用した報告がある．しかしながら，これらの工具は高価であり，生産コストの観点で負担が大きく，十分な普及には至っていないのが現状である．