低温下で自由落下した液滴の付着挙動と付着強度に関する研究

摘要

航空機が低温環境下で運航される際に最も憂慮すベ き事象は，機体やエンジン表面に形成される着氷現象で ある.着氷とは，氷点下の環境のもとで空気中の過冷却 水滴あるいは水蒸気が物体表面に高速衝突して凍結も しくは昇華することで氷層を形成する現象である.これ までに同現象に起因して発生した多数の航空機事故を 背景に防除氷技術の開発が国内外で行われている.この ような技術開発のベースを与える氷層が形成されるま での素過程を明らかにすることもまた重要である.そこ で本研究では，低温環境下におかれた基盤上に衝突した 単一水滴の濡れ広がりと急冷凝固の様子を調べる.この ために，水滴の付着形状と試験条件（衝突速度，試験温 度）の関係を明らかにする.さらに基盤に付着した水滴 の付着強度と試験条件の関係についても検討する.