地表面付近から放出された汚染質の乱流拡散性状について

摘要

地表面のごく近くから汚染質が放出され，移流・拡散していく場合，その拡散性状は地表面近傍の乱流輸送の影響を強く受ける．そのため，CFDを用いた高精度な拡散予測のためには地表面近傍の乱流輸送を精度良く表現可能なことが重要である．rnところで，地熱発電所の環境アセスメントや原子力発電所の安全解析などでは，これまで風洞実験による大気拡散評価が一般的に行われてきたが，近年の計算機能力の発達によりこれらをLESに基づいたCFDモデルによって置き換える研究が進められている．通常，風洞実験では対象とする発電所を中心に1.5km～10kmの範囲を縮率1/500～1/2000として測定を行う．また，放出口の口径は実験スケールで数mmのものが良く用いられており，さらに発電所構内の建屋の形状を再現する必要があることから，発電所周辺に多くの格子を配置する必要がある．加えて期間やコストの制約があり，発電所構外では必ずしも十分な格子解像度が確保できていないのが現状である．