可逆ネットワークモデルを用いた絡み合い高分子系のせh断流れのブラウン動力学シミュレーション

摘要

高分子濃厚溶液や高分子融液では，高分子同士が複雑に絡み合って，ネットワーク（綱目）構造を形成している．高分子の絡み合いにより，高分子の運動は遅くなり，緩和時間が急激に長くなる．さらに，粘度が増加し，顕著な粘弾性が現れる．絡み合い高分子系のレオロジー特性を説明するモデルであるネットワーク理論では，高分子流体の内部構造を，複数の高分子によってつくられる絡み合い点と絡み合い点間の高分子が形成するネットワークで表現する．そして，このネットワークはしばしば多数のビーズとバネで構成されたネットワークで粗視化される．しかし，そのようなモデルでネットワークの運動を数値シミュレーションするた捌こは，非常に大きな計算負荷がかかる．そこで，2個のビーズを1本のバネで連結したダンベルの分散系としてネットワークをさらに粗視化したモデルが，可逆ネットワークモデルである．可逆ネットワークモデルでは，アクティブ（active）とダングリング（dangling）の二種類のダンベルを考え，ダンベルの状態変化によりネットワークの状態を表現する．このモデルでは，ネットワーク構造のトポロジー変化を考える必要がないため，数値シミュレーションのための計算負荷は大幅に軽減される．本研究では，この可逆ネットワークモデルを用いたブラウン動力学シミュレーションを行う．ここでは，ダンベル間相互作用と排除体積効果を考慮して，せh断流れを対象に数値シミュレーションを行い．分子配向挙動へのせh断速度や絡み合い強度の影響を解析した．