自己形態主張型カスタマイズロボットの開発～ロボットの擬似的な思考音の導入とその効果の検証

摘要

近年，様々な形態·種類のコミュニケーションロボットが開発されているが，それらはユーザとの長期的なインタラクションを形成するに至っていない．そこで本研究では，ユーザの飽きを回避するための人‐ロボットコミュニケーションシステムの開発を行っている．我々は，ユーザの飽きを回避するためのコミュニケーションモデルとして，ユーザとロボットが双方向的に主張行動を行う「相互的主張」を提案している．特に本研究では，人からロボットへ向けての主張としてロボットの外観についてのカスタマイズを，ロボットから人への主張として人から受けたカスタマイズに対する評価を設定した．このコミュニケーションモデルを実現させるため，カスタマイズ可能な自己形態主張型コミュニケーションロボット「WEAR（Waseda Extendable ARchitecture）」の開発を行っている(図2)．WEAR において上記のコミュニケーションモデルを実現させるため，まずユーザがWEAR に対して部品を取り付ける事でカスタマイズを行い，次にWEAR がそのカスタマイズの保持（受容）もしくは排出（拒否）を行う事でユーザに対して評価を行う．この双方向的主張の繰り返しにより，ユーザとロボットのインタラクションを行っていく．従来のWEAR の問題点として，以下の2 点が挙げられる．WEAR の目に見える評価が排出動作のみで，受容のフィードバックが無いカスタマイズから評価までの時間が一定ではない過去に行われた実験において，これらが原因となってユーザがWEAR に対して不安感を覚えるような場面が観察されており，この問題の解決が必要であった．そこで本研究ではこの不安感を取り除きより円滑なコミュニケーションを行うため，音によるロボットの状態提示を導入したので報告する．