上肢リハビリ訓練·評価支援システムの開発―CI 療法におけるロボットを用いた負荷抵抗訓練に関する考察

摘要

近年の高齢化に伴う疾病や加齢による運動機能障害者の増加により，リハビリを行う療法士の負担増加が社会的な問題となっている．また医療改革により科学的根拠に基づく医療EBM (Evidence Based Medicine) への転換が求められている．このような背景からロボット技術，運動制御技術，計測技術などをリハビリ現場の支援に役立てるための研究·開発が進められている．下肢を対象とした機器として，インテリジェント義足足継手[1]や下肢機能回復支援システム[2]などがあり，上肢を対象とした機器としてアクティブ·パッシブ兼用三次元上肢リハビリ支援システムHybrid–PLEMO[3]などがあり，そして上肢と下肢の両方を視野に入れた機器としてロボットスーツHAL[4]などがある．このように上肢，下肢共に様々な機器やシステムが研究開発されているが，上肢を対象とした機器の開発は尐なく，そのほとhどが研究段階にとどまっている．そこで筆者らは，リハビリ現場のニーズの発掘ならびにニーズの具現化のために開発した3 次元反力提示ロボットを実演しながら療法士らとの意見交換を行い，リハビリ支援システムを開発している[5][6]．その一つとしてCI 療法における負荷抵抗訓練を支援するシステムがある[5]．文献[5]では，療法士に多大な負担のかかる徒手による負荷抵抗訓練をロボットに置き換えるための負荷抵抗制御法を検討した．CI 療法に関しては，第6 著者が復職関連活動などを用いたCI 療法の効果に関する研究を行っている[7]．本稿ではロボットの運動制御に反映させるために，療法士が患者に施術する訓練行為ならびに療法士が患者に対して与える負荷抵抗の動作解析を行った．さらに，本システムの有用性を検証するために患者一名に対して臨床試験を行った．