「はやぶさ」から「はやぶさ2」へ－世界最先端に挑戦する日本の小天体探査ミッション

摘要

本年（2010年）6月13日．小惑星探査機「はやぶさ」がその7年間余りの太陽系空間飛行を終えて地球に帰還した．燃え尽きる自分と引き替えにカプセルを無事に地上に戻した「はやぶさ」．その最後の華麗であり，また壮絶とも言える光景に，多くの人々が感動し，「はやぶさ」は一つのブームとも言うべき社会現象を日本にもたらすことになった．ここまで「はやぶさ」が注目されることはまさに想定外の出来事であるのだが，「はやぶさ」ミッションそのものが想定外の出来事の連続であったと言ってよい．それは，“前人未踏の世界初の挑戦”が持つ宿命でもあるのであろう．ここでは，この「はやぶさ」のミッションの概要を報告するとともに，「はやぶさ」後継機としての「はやぶさ2」について紹介する．「はやぶさ2」は，「はやぶさ」の経験を引き継ぎ，技術と科学においてさらなる進展を図ろうとするものである．