X線CTスキャンによる木材内部構造の可視化と強度·振動吸収性に関する研究

摘要

木材は建築材料·家具·楽器として用いられており，天然有機材料であるため生育条件に応じて種々の構造を持っている．木材は広葉樹（環孔材·散孔材）·針葉樹に分けることができ，それぞれにおける微視組織（例えば年輪）の形態は異なる．また同じ木材でも板目·柾目といった面に対する異方性や比重の違い，節の存在などから，木材に関するさまざまな研究成果において組織の違いから力学的特性を評価することが課題となっている．本研究では，微視組織の異なる木材を広範囲にわたる木種から選定して，密度測定，曲げ試験および振動減衰特性試験を行い，木材の微視組織と力学的性質との関連について明らかにすることを目的とする．新たな試みとして，木材内部の微視組織を非破壊で可視化するCTスキャン装置を活用して，道管や年輪の形態を詳細に検討した．