回転機械におけるミスアライメント状態の特徴解明と診断法に関する研究(2)—複合ミスアライメント状態について

摘要

回転機械異常時の振動信号やスペクトルの特徴を理論的に解明できれば，これらの特徴は異常種類の識別時の重要な根拠となる．回転機械の回転軸ミスアライメント状態は，異常振動の発生メカニズムや原因が理論的に解明されることが難しいので，異常の検出と異常種類の判別は，過去蓄積されたデータによって経験的、統計的に行われて解析する場合が多い．経験的あるいは統計的に求められた異常振動の特徴は不確実な部分もあるので，異常程度の判定および他の異常種類との区別が難しくて，精度も高くない．したがって本研究では，回転軸の各種ミスアライメント状態による動特性の変化，及び異常振動の発生メカニズムを解明するために，回転軸の複合ミスアライメント状態の振動信号の特徴を力学的に解析し，複合ミスアライメント状態の診断に基礎的な知見を提供する．また、回転軸の横振動が比較的にモデル化しやすいが，縦振動モデルは軸の支持条件，軸の長さ及び軸上の部品などによって大きく違うので，モデル化しにくい。本報では、複合ミスアライメント（アングルミスアライメント＋オフセットミスアライメント）の振動モデルの横振動特性を解析し，その結果に基づくシミュレーションと実際の測定波形との比較によって，本手法の有効性を検証する．