Cdh1とCdc20タンパク質の結合を考慮した9次元細胞周期システムのロバストネス解析

摘要

本論文では，ロバストネス解析に基づきCase0～Case4の5つの9次元細胞周期システムのタンパク質ネットワークのロバストネスを比較した．文献9)で提案されたTysonモデルをCase0とし，最小二乗法を用いて推定されたタンパク質間のネットワークを加えたモデルをCase1～Case4の四つに分けた．Case1はCln2からCdc20_A，Case2Cdh1からCdc20_T，Case3はCdh1からCdc20_Aへのネットワークを加え，Case4ではCase1～Case3のネットワークをすべて加えた．つぎに3.2において感度解析手法に基づいて感度と周期感度を求めた．結果より，Cdh1からCdc20_TとCdh1からCdc20_Aのネットワークを加えるとCln2とTFの濃度変化に関連するパラメータk'_(13)～k''_(16)に対する感度の振幅と対応する周期感度の値が，Tysonモデルに比べ小さくなることがわかった．このことから，本稿で考慮した9次元細胞周期システムにおいて，Cdh1からCdc20のネットワークをTysonモデルに加えることによって，パラメータ変化に対するロバストネス，さらに周期の変化に対するロバストネスの両方を向上させるといえる．