スマートウィンドウに向けた二酸化バナジウム膜のミスト CVD 法による作製と光学特性評価

摘要

二酸化バナジウム (VO_2) は室温近傍で金属絶縁体相転移を起こし、高温相では赤外線を反射し、低温相では透過するという性質をもつ。そのため VO_2 は気温に応じて自律的に赤外線透過量を変化させ、建物で空調に消費されるエネルギーを低減するスマートウィンドウの材料として注目されている。これまで VO_2 膜は、水熱合成法などの溶液法、スパッタリング法などの PVD 法、および化学気相成長法 (CVD 法) を用いて成膜されてきた 1,2。しかし PVD 法や一般的な CVD法は真空環境が必要であるため高コストである。また溶液プロセスを用いた VO_2 成膜は、数時間以上の長い成膜時間を必要とし、生産性が低い。我々は低コストかつ高生産性の成膜手法としてミスト CVD 法に注目した。本手法は大気圧下での成膜が可能であるため、プロセスコストが低い。また一般に溶液プロセスよりも反応時間が短く、生産性が高い。本研究ではミスト CVD 法による VO_2 成膜を試み、原料溶液中の溶媒が成膜に及ぼす影響を明らかにするとともに、得られた膜の光学特性を評価した。