Cucurbit7uril水和物結晶の安定製造に向けた 晶析操作と固液分離条件の検討

摘要

医薬品分野では、生物学的利用能の観点から、高い溶解性を示す化合物が望まれる。一方、近年難水溶性を示す医薬品候補化合物の割合は増加しており、開発期間の長期化や費用の増加を招いている。1)そこで、化合物の溶解性改善に向け、環状分子であるククルビット[7]ウリル（Cucurbit[7]uril,CB7）に注目した。CB7は水への溶解性を有し、かつホスト分子として環状構造内で様々な化合物をゲスト分子として認識し、包接化合物を形成する。2)そのため、CB7が難水溶性分子と共に包接化合物を形成した場合、その溶解性改善が期待できる。ホスト分子としてCB7を用いるためには、CB7の分離精製が必須であり、その手法の1つとして晶析が挙げられる。しかし、既往の研究では、CB7の結晶化は難しく、非晶質になることが報告されている。3,4)そこで、本研究ではCB7の結晶粒子群を安定に得るための操作条件を見出すことを目的とした。